2012年5月28日月曜日

「very impressive」

最近家族説明をすることが増えてきた。

いや、全面的にやっている。

そうなると、日本では考えられもしなかったことがたくさん起こってくる。

人類みな兄弟とはよく言ったものだが、

やっぱり民族や宗教、国籍によって考え方もとらえ方も全然違う。

当たり前だろ、と言われればその通り。しかし現実にその壁にぶつかっていくとなると、「人それぞれ」では終わらない。

話せばわかる、という部分と、話しても分からないという部分。

思った以上に分かりあえる部分。そういった「落とし所」をそれぞれに試行錯誤しながら会話を進めていく。

日本ではほとんどなかった海外転院搬送が日常のように起こり、国境を越えて患者が運び込まれてくる。


僕が心掛けていること。

それは、
「日本でやってきた気遣いをそのままする」

ということ。

いつものように説明を終え部屋から出ると、麻酔科のインド人から言われた言葉。

「お前の説明はvery impressiveだ。初めてだよ。うん、良かった」と言ってもらえた。

うれしかったのはもちろんなのだけれど、ちゃんと家族にも伝わっていたのが嬉しい。心の機微や琴線のありようは国によって違うけれど、まったく通じないというものでもない。

 相互理解という幻想に絶望しながら、それでも時に信じ貫くのならば、ある程度道は開けるのではないか。そう今は信じている。

 一方で、盲信してはならないと危惧する。机上の相互理解は、日本以外では通用しないと覚悟したほうがいいと思う。

 海外で財布からお金を出すのは簡単。

 海外で財布にお金を入れてもらうのは、、、、。もう誰もニコニコはしてくれない。お金を出してくれるから、下手な英語も聞いてくれていた、ということを痛感する。
「お前ではわからないから、変われ」と言われるくやしさや、苦しみは、たぶん若いうちでしか我慢できないのかもしれない。そうやって多くの駐在員が、日系会社であるにもかかわらず鬱になっていくことが少なからずある。今まで出来ていた仕事が、語学力のためだけに「子供扱い」されるからだ。
 実際会議についていけないから、仕事にもならない。僕らで言えば、カンファレンスについていけなければ、話にならない。
 ほんの少し前まで、僕もそうで、カンファレンスでなにを言っているのか分からなかった。特に数字が分からない。バカみたいに聞こえるだろうけれど、「6」「8」「1」とかタタタっと言われると、頭がついていかない。15mgと50mg、500mlと510ml。そういう違いを瞬時に聞きとれるようになるまで、数カ月以上かかった。

まだまだ。。まだまだ。



2012年5月22日火曜日

外来

外来が忙しくなってきました。

任されるのはうれしいのですが、やっぱり大変です。

中国語の通訳がいないと仕事になりませんが、通訳も結構いい加減だったり、医学用語が出てこなかったりで、これは自分で中国語単語集を作らなければいけないのかな、などと外来中に思ったりしていました。

基本はボスの第二外来なのですが、なかなか忙しい外来です。システムも紙カルテ以外は全てオ―ダリングなので、患者の呼び出しから処方、検査オーダー全てPCで立てなければなりません。日本と一緒だなと思いながらやっています。

Medisaveというシステムがあり、これを使うかどうか、使えるかどうかなどの判断がDrに求められます。このあたりは日本ではなじみのないシステムなので、私もまだまだ勉強中です。


2012年5月18日金曜日

同時通訳



Yokohamaでコングレスがあったので同時通訳+勉強で参加してきました。

同時通訳のブースはパシフィコ横浜メイン会場国立大ホールの左ウイングに3か所設置されています。ここの同時通訳ブースはガラス窓が出窓になっており、通訳者には非常に使いやすい構造になっています。
 場所によっては覗き込まないとスライドが見えなかったり、手前のブースだとまったく見えない、などということもあるのですが、ここはやはりパシフィコ。どこのブースからもスライド閲覧が容易になるように設置されていました。

私の担当はBrain Machine Interfaceの発表だったのですが、演者の説明が論理明快であり非常に訳しやすいものでした。Brain Mappingのスライドも担当したのですが、スライドがすべて日本語でかつぎっしりと文字が詰まっていたので、私の通訳も詰まってしまいました(笑)。というのは言い訳で、演者の早い論理展開と早口にまったくついていけなかったのです。海外から来られた方にはご迷惑をかけたと思います。

 通訳者の観点からはやはり、スライドは以下のようであってほしいなぁと思います。

1.7行7文字ルール。

 一スライドに7行以上入れない。それ以上なら論旨がサマライズされていないことが多い。

2.会場後ろに座っている人が見えない文字は使用しない。

 JPGなどをそのまま小さい文字付きで載せておられる方がいます。気持ちはわかりますが、それは思い切って切り取り、スピーチで説明されるのがよいかと思います。


3.ゆっくり話す

 これは希望です(笑)


2012年5月14日月曜日

チャンス

「とてつもないチャンスがノックしてきたとき、自分には絶対できない、自分には無理と思えることがあるでしょう?
たしかに、それは今のあなたがやるには難しいことかもしれない。
でもね、未来のあなたには、なんてこともないのよ」




アイリーン・ジョーンス

アメリカ  元米国ファッショングループ会長



2012年5月5日土曜日

5月から一新

5月から人事が一新されました。

シンガポールではNHG(National Health Group)を中心にMedical Officerの総入れ替えが行われます。なので5月は新しい環境になると同時に要注意。

なぜなら、全てのMOがニューだからです。今までの老練なMOを期待してはいけません。とんでもないことから、普通分かるだろうというところまで説明してやらねばなりません。


 そして、私。


 ボスの直属部下となることが決まりました。これから手術場との交渉、各種対応、外来も含め、さらに責任のあるポストを担うことになります。手術場の確保は日本の大学と同様、他科との兼ね合いもあり微妙な問題を多く含みます。科内での調整も必要となってきます。このあたり、ある程度科内、病院内のの事情を知らないとできません。僕も初めは、「なんて効率的な場所なんだろう」と思っていましたが、いえいえ、僕が知らないところで同僚が全てお膳立てしててくれただけなんです。

 それを次から僕がしないといけない、ということです。OP室の確保から道具、ベッド台の種類(AMSCO, MIZUHO)、Navigationの有無、セッティング、CD-ROMの準備、Vendorへの連絡確認、等々。こうやって医局長先生はいつも疲れた顔をしておられたなと昔を懐かしく、恨めしく(?)思い返したりしています。




 正直自分には荷が重いのではないかなと思っていました。シンガポールのヘッドの直属に僕がいることが本当に不思議なのですが、でもせっかく与えてもらったチャンス。できるだけのことをやってみます。


 当直は、かなりきついです。日本もきつかったですが、それ以上だなと思います。当直ごとの入院が大体多い時で15人ぐらいあったり(脊椎当直も兼ねている時は20人を越えたことがあります)、もちろんその間緊急Opeも入ります。Opeが終わったら5人入院してた、ということもありました。

 翌日の回診で前日当直だったConsultantに申し送りをするのですが、当然的確に申し送らなければならず、その時のストレスは結構なものです。

 端的にプレゼンをする、というのは能力であり、また訓練だと改めて実感しています。Implyすることはなかなか難しいので、直接的な言葉を使わないといけません。


当直、外来、回診、手術、プレゼン、論文準備、、。少しずつタスクが増えていくのがわかります。10月の日本の総会に間に合うかどうかわかりませんが、こちらのデータを今まとめている最中です。

 Independent Callをする、というのは当初の大きな目標であり、それは達成されました。まだまだ頭の中にある構想の10分の1にも辿りついていないのですが、長い人生(あるいは明日かもしれない短い人生)、しっかり目標を見据え、日々の些事に浮き沈みせず、遠くを眺めながら、近くの諸事に丁寧に対応していきたいと思います。


 明日も当直。なので今日はクラークキーで友人と焼肉(なんのこっちゃ)










2012年5月1日火曜日

Independent Call

働き始めて5カ月が過ぎました。早いものです。


5月からIndependent callとなりました。これは、まあ、一人で当直しなさいよ、ということです。

家族説明からOpe、病棟の急変まで全責任がでてきます。




 半年を立たずに独立当直できるのは本当にありがたいことなのですが、やはりコミュニケーションの辺りで今でも困難を覚えます。英語の話せる人はいいのですが、それ以外の方とのやりとりはやはり通訳が必要になってきます。


 とにかく、一歩前進です。