2012年9月12日水曜日

才能とかいうものの正体


今日MRCSの試験を受けてきました。

 Member of Royal College of Surgeonの略です。イギリス外科試験です。こちらのCommon wealthは二階建、三階建になっているので、日本の脳神経外科医と違ってこちらの脳神経外科医は必ずと言っていいほど一般外科を回っています。

 そしてその外科系の研修が終わったという修了証の代わりに受ける試験がMRCS。


午後2時からPartAが2時間、1時間休んでPartBがまた2時間。終わるのは午後8時。

なんでこんな中途半端な時間に開始するかというと、イギリス時間に合わせているから。世界中でカンニングが出来ないようにしているとのことです。

2時間で135問。合計270問。決して少ないとは言えない量。

私の隣前に座っていた人など、「止め」の合図の後10問ぐらいイエヤ!と丸していました。時間が足りなかったのでしょうね。パスポートがシンガポールだったので、そういうシンガポール人もいるのでしょう(少ないとは思う、極めて)。

今回の会場はNUSの一室。88人がいました。全員出席。女性のイスラーム系がいなかったので以前と少し違っていました(誰もヒジャブをかぶっていなかった)。男性はわかりません。



 この数日間本当に寝る間も惜しんで勉強しました。やりきったという感じです。ずっと勉強してました。入院というアクシデントがあったので、時間が取れず予定が大幅に崩れていました。

 仕事がある日は帰ってから5時間―6時間。休日は朝の回診が終わったらコーヒーショップで2時間、帰ったらそのまま10時間以上やっていました。

 3日間で2000問、復習を含めると3000問はやったと思います。やはり記憶力が落ちていて、何度やっても覚えられないところがあります。もう繰り返すしかありません。駄目なら声を出す。指を折って10回数える。そんな泥臭い作業をしていました。


 僕は賢くもなく、優秀な人間でもありません。どこにでもいる人間です。

 タダ一つ誇れるものは、やろうと思ったことの「努力」だけは人一倍してきました。

 1,2回単語帳を見ただけで「覚えられないや」と言っている人のなんと多いことか。1,2回見ただけで覚えられる人もいます。でも僕はそうじゃない。

 なので、泥臭い「努力」をします。10回声に出す。指を折って数える。書く。絵を描く。

 そういうことをして、なんとか覚えられるようにする。その点については、僕はがんばってきたと思います。



 会場で受験者を見渡しました。ほとんどがMO。顔見知りもちらほら。うちの病院で働いている人も。皆若い。20代。徒党を組み、楽しそうに受験している。

 そんな中、自分がいる。日本人はまず僕だけ。そこに座って試験を受けている違和感。

 がんばることだけは怠けなかった。そしたら、ここまで来られた。






がんばっている人へ。


 世間はなんとでもいいます。自分の道を信じて進んでください。

 他の人と比較に意味はありません。自分の一灯を探してください。

 仕事の『愚痴』を言う人に、自分の人生を任せないでください。



 まだ途上のランナーです。途中で倒れたら笑ってください。

「ほらみろ」という人と一緒に笑ってください。


もしそうではなく、「一緒にまた走ろう」と言ってくれるのであれば、僕は今あなたを心から応援します。

 しんどい時間を過ごしている友人へ。

 メールありがとうございました。大丈夫です。こんな僕でもこうやっているのですから。大丈夫。








0 件のコメント: