1. 英語という魔物
海外留学には避けて通れないものは言うには及ばないことですが、英語力です。特に日本人はこの特徴が顕著です。というのも、同じアジア人であってもフィリピンやインド、マレーシアなどでは状況が異なるからです。
最も異なるのは教育に使用される言語です。教育のためのメディウム(教育手段・条件)が英語である、ということが医師免許国際化の必須条件です。ですから医学教育が英語で行われているフィリピンやインドなどは比較的スムーズにシンガポールに臨床医師として参加することが可能です。
しかし御存じのように日本の教育言語は一部の特殊な環境を除きほぼ全て日本語で行われます。日本はアジア地域において中国・韓国ともに母国語で医学教育を行う数少ない国家です。例えば「pineal body」は日本語では「松果体」ですが、フィリピン人に「母国語でなんというか」と聞いても「pineal body」と答えます。言いかえることができるのはターヘルアナトミアを翻訳し尽くした杉田玄白ら以来の日本人の絶え間ない努力の賜物だと断言できるでしょう。
しかしそれがまた日本教育の国際化の大きな壁となっていることも事実です。善し悪しを言っているのでないことに注意してください。母国語で学問ができる、というのはそれはそれで素晴らしいことなのですから。なによりも母国語で学ぶほうが効率がよくまたややこしい話になりますが、非言語的思考はほぼ母国語で行われますので深く思慮する際には母国語での専門用語が不可欠だと私は考えています。
これを見に来られているなら、学生時代にも医学英語を少しでも意識して覚えようとされた方がほとんどだと思います。英語雑誌を読んだり、人によっては英語論文を書きなれている人もいるでしょう。そういう人達は確かに有利だと思います。
しかし、です。私の経験から言えばそれだけでは不十分です。私達は海外で医師として認められる前に英語試験を受けて必要とされる英語力を示さなければならないからです。ではどれぐらいの英語力が必要とされるのでしょうか。
a. IELTS - at least 7 for ALL components (Listening, Reading, Writing AND Speaking) b. TOEFL - at least 250 marks for computer based test or 600 marks for paper-based test or 100 marks for internet-based test c. OET - at least Grade B |
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