前回MRCSについて書きましたが、今シンガポールの医学教育は変わろうとしています。従来のイギリス式システムから米国式システムに移行過程の真っただ中にいます。
MRCS, FRCSなどを取っていくものからこれからは、M.D.を取得する形になります。今現在働いているスタッフは旧式制度の卒業生です。
やはりアメリカは凄いと思います。教育制度をそのまま輸出出来る国力と国策・民間力を持っているのは素晴らしいことです。日本で言えば、東大式教育を輸出する、などにあたるのでしょうか。
教育をパッケージで輸出するという政策は現在のunifyされつつある時代に最もマッチしたビジネスモデルだなと思います。日本のODAが国策として円経済拡大を主題に入れていたように、同じシステムを移動させるということは、その経済圏での経済活動拡大・延長を意味します。そこにはまた「USMLE」の受験料、STEP3の講習料、教科書、学校、あらゆる産業が付随してきます。その前にTOEFLなども必要になるでしょう。TOEFLの目標点数に達するまで平均5~8回の受験を日本人はしています。これだけで10万円単位の支出です。もちろん受けてはアメリカ企業です。
日本でこういうシステムパッケージ販売は模索できないものでしょうか。
おそらく日本は包括されていくほうに含まれるのだと感じます。
第一には日本語というローカル言語が輸出を阻んでいるからです。同時に人材の輸入に対する障害にもなっています。それを保護と呼ぶ人もいれば、障害と呼ぶ人もいます。立場の違いかと思います。そのため人材不足の場所、ナースなども海外からの輸入が極めて限定されています。表音言語しかないフィリピン人に漢字の読み書きをさせるという、とんでもないことをさせる国です。「来るな」と言っているに等しいと思います。会話能力・コミュニケーション能力があれば漢字はそれほど求められないのではと思います。医療器具・機材・薬剤のほとんどはカタカナです。病院評価機構に「常時5カ国以上の同時通訳に対応できること」と文言を加えればどうかと思っています。英語・中国語・フランス語・フィリピン語あたりに取りあえず対応できるようにしてはいいかなと思っています。
第二に、日本の教育課程そのものがアメリカ式になされており、アメリカ式postgraduate studentにするのはそれほど難しくないような気がします。そうすれば医者の数は減ると予想されます。医師になる人は高校卒業時にではなく、大学卒業時に決断することになります。
また医師ではなくパラメディカルの要請が可及的課題なのだと思います。医師を社会インフラとして効率的利用をこれから本気で考えていかないといけないと思います。いままでもたくさんの方が考え続けてこられたでしょうけれど、現場と机上の乖離はこれから良くなることはなく、ますます悪化していくでしょう。この10年で有能なActive Doctorの数は減っていくと予想されます。専門特化された医師が特定の場所に集う時代がすぐそこに来ています。人口5万人以下に総合病院がなくなる日はそう遠くないように感じます。まだ人類は何が一番いい医療体制なのか、摸索中なのでしょう。
第三に、日本の公的機関に現時点でそこまでのアグレッシブな勢いや意見を感じることがあまりありません。海外にいるからかもしれませんが、私の見聞きする範囲では民間がもっぱら海外進出を手がけています。
サムソン総合病院のようにUSの総合病院モデルとして、JCI規格基準一致病院として認知されているような病院で海外進出を経営的にやっていこうとしているという話はまだ耳にしません。ちらちらとはあるのですが、John Hopkinsのようなモデル輸出型総合産業の話は残念ながら民間からしか聞こえてきません。
あるならどなたか教えてください。
つれづれに書いてしまいました。
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