2012年2月3日金曜日

救急外来へ向かう時

携帯が鳴り救急外来のTELが画面に現れる。
EDのMOがまくしたてるように患者の状態を早口で説明し始める。年齢・性別・国籍・既往歴・状態・画像所見・血圧。
患者IDを確認し目の前のPCで画像を確認する。

「今から行くよ」

そう言ってエレベータを下りて行く。提示された患者の状態を反芻し、これからやるべきことを知らず知らずリストアップして準備している自分に気づく。

特に週末の救急外来は大混雑をしている。トリアージナースが5つぐらいあるブースでひっきりなしに患者を診察し、トロリーがあらゆる廊下を駆け巡り、倉庫みたいにバカでかい発熱患者用のブースに何十人も患者が寝かされている。蘇生室はCPAの患者が運び込まれ、慣れた看護師と医師があっという間にstabilizeさせていく。policeが物々しい格好で患者に付き添い、SDFの救急車がサイレンと共に救急外来入口に到着する。

そんな中を一人蘇生処置室に向かって歩いていく。

緊張の時間。

日本でならできることも、ここではまだシステムに慣れていないために困難を伴うことが少なくない。FFPの用意、ICUとの交渉、家族との話合い、Ope場の準備とその適切な連絡。

色々な可能性を考えながら怒号飛び交う救急外来を通る。救急車が到着するメインロビーだけで体育館ぐらいの広さは十分ある。

英語は基本通じない患者が多い。ERにはたくさんの人種・国籍の人が来る。通訳はNsがしてくれる。英語で患者に質問し、Nsが訳し患者が答える。マレー語の時もあればマンダリンのこともある。

随分とシステムに慣れてきたのはあるけれど、この一人救急外来へと歩いていく時の想いはいつまでも忘れず持っていきたい。日本でやっている時とは根本的なところで異なった、また違う種類の覚悟が求められていることを痛感する日々。

同じアジア人として、出来ることをやっていきたい。少しずつ。

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